外壁が、深い格子になっている
ショーダン邸(1956年/インド・アーメダバード)は、コルビュジエが実業家シャム・ブハイ・ショーダンのために設計した住宅です。
外観を見ると、コンクリートの深い格子が建物全体を覆っています。ブリーズ・ソレイユと呼ばれる日除けです。
この格子は平面的なルーバーではありません。奥行きが1メートル以上あり、格子そのものがバルコニーやテラスとして使える立体になっています。
サヴォア邸と比べてみる
この住宅は、しばしばサヴォア邸(1931年)と比較されます。
| | サヴォア邸 | ショーダン邸 |
|---|---|---|
| 外壁 | 白い塗装+水平連続窓 | 深いコンクリート格子 |
| 光 | 取り入れる | 遮る |
| 屋根 | 平らな屋上庭園 | 傘のような大屋根 |
| 気候 | 温帯 | 熱帯 |
五原則の骨格は保たれています。ピロティ、自由な平面、屋上庭園、自由な立面。ただし、水平連続窓だけは成立しません。熱帯で大きなガラス面を開けたら室内が灼熱になるからです。
原則が、気候によって書き換えられた例といえます。
内部は、垂直に抜けている
内部には大きな吹き抜けがあり、上下の階が視覚的につながっています。
これは意匠のためだけではありません。熱い空気が上へ抜ける通路です。屋根は本体から浮いた「傘」になっており、そのあいだを風が流れます。
断面が、そのまま換気の設計になっている。コルビュジエが後期に到達した、環境と形態を一体で解く方法です。
同じ都市に、4つ建った
コルビュジエはアーメダバードに、ほぼ同時期に4つの建物を設計しています。
ショーダン邸(住宅)、サラバイ邸(住宅)、繊維業会館(オフィス)、サンスカル・ケンドラ美術館。
同じ気候、同じ都市、違う用途。ブリーズ・ソレイユとヴォールトという道具を、用途ごとにどう使い分けたかを比較できる貴重な機会です。
いずれも現在まで残り、インド近代建築の出発点として研究され続けています。
図面で見る日除けの深さ
ショーダン邸の写真では、格子の奥行きが伝わりません。
断面図を開くと、格子が何メートル張り出し、太陽高度に対してどこまで日射を遮るかが読めます。平面図では、格子の内側にどれだけの生活空間が確保されているかがわかる。
装飾に見える格子が、実際には日射角度の計算から出てきた形だったことは、図面でしか確認できません。
サヴォア邸との比較は、下記の手描き構想図とあわせてご覧ください。
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