四方向すべてが、同じ顔をしている
ヴィラ・ロトンダ(1571年頃/イタリア・ヴィチェンツァ近郊)は、アンドレーア・パラディオが設計した別荘です。
平面は正方形で、中央に円形のホールがあります。四方向すべてに同じ神殿風の柱廊が付いており、どちらが正面か決まっていません。丘の上に建ち、四方に開けた風景を等しく受け取る構成です。
パラディオは古代ローマの建築を研究し、その比例体系を住宅に応用しました。この方法は『建築四書』にまとめられ、ヨーロッパ全域に広まります。
1947年、一本の論文が出た
イギリスの建築史家コーリン・ロウが、1947年に「理想的ヴィラの数学」という論文を発表します。
そこで彼が行ったのは単純な操作でした。パラディオのヴィラ・マルコンテンタと、コルビュジエのシュタイン邸(ガルシュ、1927年)の平面図を並べ、柱と壁の位置を比例で分析したのです。
すると、両者の柱間の比例が、きわめて近い数列になっていることが示されました。400年を隔てた二つの住宅が、同じ比例の枠組みを共有していた。
何が覆されたのか
この論文が衝撃を与えたのは、当時の常識を崩したからです。
近代建築は「過去との断絶」として語られていました。様式を捨て、装飾を捨て、まったく新しい建築を作った——コルビュジエ自身もそう主張していました。
ロウが示したのは、その断絶が形式のレベルでは成立していないということです。表面は違う。しかし平面を支配する比例の論理は、ルネサンスから連続している。
近代建築は、古典の伝統の外にあるのではなく、その内側で更新されたものだった。この見方は、その後の建築史を大きく変えました。
図面を並べたから、わかった
重要なのは、ロウがこれを図面の比較によって発見したことです。
写真では絶対にわかりません。ヴィラ・ロトンダは石造の古典建築、シュタイン邸は白い箱です。外観に共通点はない。
平面図に線を引いて寸法を測ったから、見えた。この記事で図面の話を繰り返しているのは、まさにこういう理由です。図面は、写真が隠すものを見せます。
コルビュジエ自身も比例を探していた
興味深いのは、コルビュジエ自身が比例の体系を強く求めていたことです。
1948年、彼はモデュロールを発表します。人体寸法と黄金比を組み合わせた尺度で、これを建築と家具のすべてに適用しようとしました。
ロウの論文が1947年、モデュロールが1948年。ほぼ同時期に、片方は近代建築に古典の比例を発見し、もう片方は新しい比例を発明しようとしていたことになります。
コルビュジエの側の平面を確かめたい方は、下記のサヴォア邸の手描き構想図をご覧ください。
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