2棟が、直角に置かれている
レイクショア・ドライブ・アパートメント(1951年/アメリカ・シカゴ)は、ミース・ファン・デル・ローエが設計した高層集合住宅です。
ミシガン湖に面した敷地に、同じ形の26階建て2棟が、互いに直角の向きで配置されています。この配置によって、どちらの棟からも湖と街の両方が見える。
外装は鉄とガラス。住宅でありながら、オフィスビルと同じ均質な外観を持っています。
同じ年、マルセイユでは
この建物が完成した翌年、マルセイユのユニテ・ダビタシオン(1952年)が竣工します。同じ集合住宅、ほぼ同時期、まったく違う答えです。
| | レイクショア | ユニテ |
|---|---|---|
| 素材 | 鉄とガラス | 打放しコンクリート |
| 住戸 | 均質な平面 | メゾネット型 |
| 共用施設 | ロビーのみ | 商店街・屋上庭園・幼稚園 |
| 思想 | 均質な器を提供 | 生活の全体を内包 |
片方は「箱を用意して住み方は自由に」、もう片方は「暮らしの全体を設計する」。
ミースも柱を露出できなかった
シーグラムビルと同じ問題が、ここでも起きています。防火規定により鉄骨は被覆が必要でした。
ミースは被覆の外側にI形鋼のマリオン(方立)を取り付けています。構造としては不要ですが、垂直の線を強調し、建物を高く見せる効果があります。
この手法はシーグラムビルへ引き継がれ、その後の世界のガラス建築の標準になりました。
住むにはどうだったか
均質なガラスの箱に住むことには、実際上の課題もありました。日射、断熱、プライバシーです。
ミースはカーテンの色を白に統一するよう求めたと伝えられます。外観の均質性を保つためですが、住み手の自由とは衝突します。
ユニテの側にも課題はありました。屋上の共同施設や商店街は、当初の構想ほど使われなかったと指摘されています。
どちらの理念も、住み手の実際の生活とのあいだにずれを抱えていました。
断面図で見る違い
レイクショアの断面図は単純です。同じ階が積み重なっているだけ。
ユニテの断面図は複雑です。住戸が上下2層にまたがり、廊下をはさんで互い違いに噛み合っている。ワインラックにボトルを寝かせる構造と説明されるものです。
断面が単純か複雑かに、二人の建築家の思想がそのまま現れています。ユニテの断面を確かめたい方は、下記の手描き構想図をご覧ください。
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