ミース・ファン・デル・ローエとコルビュジエ|ヴァイセンホーフ

コルビュジエを呼んだのは、ミースだった

1927年、シュトゥットガルトに集められた建築家たち

1927年、ドイツのシュトゥットガルトで「住宅(Die Wohnung)」という展覧会が開かれました。丘の斜面に実物の住宅を建て、新しい暮らしのかたちを一般に見せるという企画です。このヴァイセンホーフ・ジードルングの総指揮を執ったのが、ミース・ファン・デル・ローエ(1886–1969)でした。

ミースはヨーロッパ各地から16人の建築家を集めます。その一人が、当時40歳のル・コルビュジエでした。つまり、この歴史的な舞台にコルビュジエを呼んだのはミース自身です。ライバルとして語られがちな二人ですが、出発点にあったのは招く側と招かれる側の関係でした。

1927年ヴァイセンホーフ・ジードルング コルビュジエが建てた2棟

コルビュジエが建てた2棟は、いま世界遺産になっている

コルビュジエがヴァイセンホーフに建てたのは、二戸一住宅と独立住宅の2棟です。ピロティで持ち上げられ、水平に連続する窓を持ち、屋上には庭が載る。のちに「近代建築の五原則」としてまとめられる要素が、この時点でほぼ出そろっていました。

現場を担当したのは、当時27歳のスイス人所員アルフレッド・ロートでした。この2棟は、2016年に「ル・コルビュジエの建築作品——近代建築運動への顕著な貢献」の構成資産として世界文化遺産に登録されています。ドイツにあるコルビュジエ作品としては唯一の登録資産です。

同じ事務所から出発した三人

ミースとコルビュジエには、共通の出発点があります。ベルリンのペーター・ベーレンスの事務所です。ミースは1908年から、コルビュジエは1910年から11年にかけて、この事務所で働いていました。ヴァルター・グロピウスも同じくベーレンスのもとにいます。

ただし三人が同時に机を並べていたわけではありません。在籍時期は部分的にしか重なっておらず、「三巨匠が同じ部屋にいた」という語られ方は正確ではないので注意が必要です。それでも、20世紀を決定づけた三人が同じ事務所を通過したという事実は、この時代のベルリンが持っていた密度を物語ります。

「自由な平面」と「ユニバーサル・スペース」の違い

二人が到達した空間の考え方は、似ているようで違います。

コルビュジエの「自由な平面」は、柱が荷重を受け持つことで壁が自由になる、という発想です。壁は好きな位置に置ける。だから機能に応じて空間を仕切り、動線を演出できる。サヴォア邸のスロープはその典型です。

ミースの「ユニバーサル・スペース」は、そこからさらに進んで、仕切りそのものを消してしまおうとします。柱と屋根だけの大きな一室があれば、用途は住み手が後から決めればいい。バルセロナ・パヴィリオン(1929年)やファンズワース邸(1951年)に見られる、床と屋根とガラスだけの構成がそれです。

片方は空間を組み立て、もう片方は空間を空にする。近代建築が持っていた二つの方向が、ここに分かれています。

その後の二人

ミースは1930年にバウハウスの校長に就き、1938年にアメリカへ渡ってイリノイ工科大学で教えながら、鉄とガラスの高層建築を確立していきます。シーグラム・ビル(1958年)に代表される垂直の秩序は、戦後のオフィスビルの原型になりました。

一方コルビュジエは戦後、打放しコンクリートの塑性的な造形へ向かいます。ロンシャンの礼拝堂(1955年)の曲面は、ミースの直線とは対極にあるものでした。1927年に同じ丘の上に立っていた二人は、その後まったく違う方向へ歩いていったことになります。

図面を手元に置く

美術館公式グッズ

復刻された手描き構想図の額絵用アートポスターです。住宅・集合住宅・宗教建築の3点を並べて飾ると、コルビュジエが手がけた領域の広さが一望できます。

サヴォア邸の図面

サヴォア邸の図面

近代建築の五原則を体現した住宅の手描き構想図/約30×24cm

1,650円 送料無料

ユニテ・ダビタシオンの図面

ユニテ・ダビタシオンの図面

垂直の庭園都市を実現した集合住宅の手描き構想図/約30×24cm

1,650円 送料無料

ロンシャンの礼拝堂の図面

ロンシャンの礼拝堂の図面

曲線と光が生んだ宗教建築の手描き構想図/約30×24cm

1,650円 送料無料

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