柱ではなく、筒が立っている
山梨文化会館(1966年/山梨県甲府市)は、丹下健三が設計した複合施設です。新聞社、放送局、印刷工場という異なる機能が一つの建物に入っています。
構造が独特です。直径5メートルの円筒が16本、格子状に立っている。この筒の中にはエレベーター、階段、配管、トイレが収められています。つまり構造体であると同時に、設備の通り道でもある。
その筒と筒の間に、床が水平に差し込まれています。
あえて空けてある部分がある
この建物を見ると、床が入っていない空白の部分があることに気づきます。
これは未完成ではなく、意図された余白です。将来、事業が拡大したときにそこへ床を足せるように設計されていました。建物を建て替えるのではなく、必要な部分だけを継ぎ足していく。
この考え方はメタボリズム(新陳代謝)と呼ばれ、1960年代の日本建築を特徴づけた運動です。丹下は運動の直接のメンバーではありませんでしたが、その理論的な出発点に位置していました。
ユニテからの系譜
「構造体に、住戸なり床なりを差し込む」という発想は、コルビュジエのユニテ・ダビタシオン(マルセイユ、1952年)にすでにありました。
ユニテでは、コンクリートの架構という棚に住戸という箱を差し込む構成が採られています。ワインラックにボトルを寝かせる構造と説明されるものです。ただしユニテの住戸は現場で打設されており、あとから足すことはできません。
山梨文化会館は、この「差し込む」を将来にも開いた点で一歩進んでいます。同じ発想をさらに押し進めたのが、黒川紀章の中銀カプセルタワービル(1972年)でした。
ユニテ → 山梨 → 中銀という系譜を並べると、理念がどこまで実行できたかが見えてきます。
実際に増築された
重要なのは、山梨文化会館では増築が実際に行われたことです。1974年に一部が増床されています。
中銀カプセルタワービルがカプセル交換を一度も行えないまま2022年に解体されたのと対照的です。「更新できる建築」という理念のうち、実行できた部分とできなかった部分——この2棟の比較は、その具体的な材料になります。
山梨文化会館は現在も使われており、2000年代に改修を受けています。
断面図で見る
この建物の構成は、平面図と断面図の両方を見ないと理解できません。
平面図では16本の円筒の配置がわかります。断面図では、床がどの高さに差し込まれ、どこが空いているかが読める。空白が意図的なものであることは、断面を見て初めて納得できます。
ユニテ・ダビタシオンの断面と並べると、両者が同じ問題——構造と可変性をどう両立させるか——に取り組んでいたことがはっきりします。
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