柱が、上で円盤になる
ジョンソンワックス本社ビル(1939年/アメリカ・ウィスコンシン州ラシーン)は、フランク・ロイド・ライトが設計したオフィスビルです。
大事務室には、細い柱が林立しています。この柱は下が細く、上に行くほど太くなり、天井部分で大きな円盤状に広がります。いわゆる「きのこ柱」「デンドリフォーム柱」です。
円盤どうしのあいだには隙間ができ、そこにパイレックス製のガラス管が並べられました。光は壁からではなく、天井の隙間から降ってきます。
役所を説得するために、実験した
この柱は、当時の建築基準では認められませんでした。細すぎると判断されたのです。
ライトは実物大の柱を1本立て、公開の場で載荷試験を行いました。規定荷重をはるかに超える重さを載せても壊れないことを実証し、許可を得たと伝えられます。
この逸話は広く知られていますが、詳細については資料により記述の差があります。ただし、当局を実験で説得したという構図は事実として扱われています。
窓のない事務所
この建物には、通常の窓がほとんどありません。外の風景は見えない。光は天井から入るだけです。
ライトの狙いは、外界から切り離された、集中できる内部世界をつくることでした。企業という共同体のための、閉じた空間。
コルビュジエの発想は逆です。水平連続窓で風景を切り取り、外へ開く。スイス学生会館でも、チェントロソユーズでも、大きなガラス面が特徴でした。
内へ閉じるか、外へ開くか。落水荘とサヴォア邸の対比が、オフィス建築でも繰り返されています。
働く場所の設計
ライトはこの建物のために、デスクと椅子もデザインしました。3本脚の椅子は、姿勢が悪いと倒れる設計だったと伝えられます。
コルビュジエも家具を設計しましたが、目的が違います。ペリアンと開発したLCシリーズは、規格化して量産することを前提としていました。
その建物のためだけの家具か、どこでも使える家具か。ここにも一点物と量産という分岐が現れます。
断面図で見る
この建築は、写真では「柱が並ぶきれいな空間」に見えます。
断面図を開くと、柱がどの高さでどれだけ広がり、円盤と円盤の隙間がどのくらい空いているかが読めます。その隙間の寸法が、内部に落ちる光の量を決めています。
光の質が、柱の形状から決定されていることは、断面でしか確認できません。
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