岬の先に、盃が置かれている
ニテロイ現代美術館(1996年/ブラジル・ニテロイ)は、オスカー・ニーマイヤーが設計した美術館です。
グアナバラ湾に突き出た岬の上に建ち、円形の展示室が一本の細い脚で持ち上げられています。下から見上げると、盃か花のような形に見える。赤いスロープが地上から入口へ巻きつくように伸びています。
展示室は円形で、周囲がぐるりとガラス張り。作品を見ながら、同時に湾と対岸のリオデジャネイロが見えます。
ピロティの、極端な形
この建築は、コルビュジエのピロティを極限まで押し進めたものと読めます。
ピロティの狙いは、建物が占有した地面を人に返すことでした。ニテロイでは接地点が一本だけ。岬の地形はほぼそのまま残されています。
ただし形が違います。コルビュジエのピロティは規則的に並ぶ円柱で、建物は水平の箱。ニーマイヤーは一点で支え、上部を円形に広げました。
1936年、二人は一緒に働いた
ニーマイヤーとコルビュジエには、直接の接点があります。
1936年、リオデジャネイロの教育保健省ビルの設計に際して、コルビュジエがコンサルタントとして招かれました。ブラジル側のチームにはルシオ・コスタが率いる若手が集まっており、そのひとりが29歳のニーマイヤーでした。
ピロティ、ブリーズ・ソレイユ(日除け)、屋上庭園——この建物には、コルビュジエの語彙が明確に現れています。ニーマイヤーはここで直接それを学びました。
そして、曲線へ向かった
ニーマイヤーは後年、「私を惹きつけるのは、自由で官能的な曲線である」という趣旨のことを繰り返し語りました。ブラジルの山や川、人の体の線を挙げています。
直角を捨てたわけではありません。構造は近代建築の合理性に従いながら、形態だけを曲線へ解放したのがニーマイヤーの方法でした。
コルビュジエ自身も、晩年のロンシャンで曲面へ向かっています。師が晩年に到達した地点から、弟子は出発したとも読めます。
1988年、プリツカー賞を受賞しました。
断面図で見る
ニテロイは、写真だけ見ると「不思議な形の建物」です。
断面図を開くと、一本の脚がどれだけ細く、上部の円盤がどれだけ張り出しているかが正確にわかります。展示室の床がどの高さにあり、そこから海面がどう見えるかも読める。
「浮いている」という印象が、具体的にどの寸法から生まれているのか——図面で確認できます。
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